アンブロークンが描く捕虜とは大きく異なる「紀州鉱山の英国捕虜兵」その2
- 2016/04/29
- 13:46

前回の続きである。戦争が終わり、立場が逆転した捕虜たちは地元の人たちにどう接したか。「紀州鉱山の英国捕虜兵」佐々木仁三郎著「三重県終戦秘録」(三重県郷土資料叢書 第48集)(1970年)より終戦の明暗八月一五日、終戦の報いたるや、入鹿の捕虜収容所は、たちまち、歓喜と、自由の乱舞する場と化した。敗惨と、屈従の弱者は、たちまちにして、勝者となり、主人となった。捕虜収容所の所長の椅子は、転じて彼らの隊長の席と...
アンブロークンが描く捕虜とは大きく異なる「紀州鉱山の英国捕虜兵」その1
- 2016/04/29
- 11:28

「アンブロークン」は日本の捕虜となった連合軍将兵を、人間扱いされない「奴隷」として描いたが、おそらく世界中に、あれが日本の収容所の一般的光景であるかのような認識が広がったことであろう。だが、このブログで過去に何度も取り上げたように、「アンブロークン」は日本の非人道性を強調するために、極端な事例や事実ではない情報を寄せ集めた、強いバイアスがかかった作品であるのは確かである。今回と次回、「アンブローク...